海でのはなし。
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ごく普通の家庭で両親の愛を一身に受け、珍しいくらいまっすぐに育ってきた女の子、楓。でもある日楓は、母親が父親の愛人だったことを知ってしまう。お父さんには、私たち以外に本当の家族がいる…。傷付いた楓が向かったのは、博士のいる場所だった。楓より少しだけ大人で、とぼけたことばかり言う博士は、楓にとっては近くて遠いひと。そして、とても大事なひと。恋とかそういうのじゃなくて、もっともっと深い何かで繋がっているような。博士は、アレともあまり関わりを持たずに生きてきた。傷つかないですむし、そのほうが楽だからだ。でもいったいいつからだろう。両親を愛することさえできなくなったのは…。二人を乗せた車は海へと向かう。くだらないおしゃべり。真夜中の浜辺。闇から響く波の音。ことばは途切れながらも続いてゆく。そしておとずれる、やさしい朝。楓と博士。不器用な二つのこころは少しずつ寄り添って。小さなことがぜんぶ大切。たとえそれが答えじゃなくても。誰かを大事に思う気持ちがあれば、自分のことも、自分以外の誰かのことも、きっときっと愛せるはずなんだ…。スピッツの切ないメロディーにのせてそっと紡がれてゆく、やさしい物語が生まれました。
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2006年/日本/71分監督:大宮エリー出演:宮崎あおい、西島秀俊、天光真弓、保積ペペ、菊地凛子、川村早織梨、毬谷友子、勝野洋